つわりの時のヨガ
2024/06/01
マタニティ初期のマイナートラブルで起こる「悪阻(つわり)」。つわりの時ってヨガをしてもいいでしょうか?
参加される生徒さんやヨガインストラクターからよく寄せられる質問について解説していきます。
目次
つわりってどんな症状?
つわりとは妊娠5週~16週頃までにみられる悪心や嘔吐の症状のことをいいます。人によって個人差はありますが多くの妊婦さんが経験されていますね。
症状としては
・吐き気がする
・全身がだるい
・眠気がある
・食べ物のにおいが気になる
・食べられるものが変化した
などなど症状も様々です。
よく上げられるのが「お腹がすくと気持ちが悪くなる」という所謂「食べつわり」や吐き気が止まらない「吐きつわり」といわれる症状です。
とにかく気持ちが悪くなるので日常生活を送るものしんどくなりますよね。
臭いにも敏感になっていますから、普段気にならなかった臭い(部屋のにおいや人の体臭など)も感じてますます気分が悪くなるという方が多いのではないでしょうか?
また一人目はなかったのに二人目はつわりがひどくなった!なんて方もいますし、全く感じなかったというラッキー(?)な方もいるようです。
つわりの原因とは?
そんなつわりが起こるメカニズムについては諸説ありますが、妊娠4週~12週に分泌される「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」が関係しているといわれています。
このホルモンは妊娠検査薬などで反応するホルモンで、脳の嘔吐中枢を刺激するためにつわりを起こす原因になるということです。
また他の原因(俗説?)として
・妊娠初期に無理をさせないため
・体内の老廃物を排出しようとするため
・骨盤の調整をするため
などいろいろと言われていますが、いずれにしても妊娠という環境や体の変化により自失神経のバランスが崩れることで
マイナートラブルを引き起こしやすい状態になっているのだと思います。
また、マタニティヨガの指導している中で思うのは体の緊張が強い方はつわりの症状が悪化する傾向にあると実感しています。
例えば
・目の使い過ぎで首肩が凝っている人
・背中が硬い人・姿勢が悪い人
・胸が硬く呼吸が浅い人
などは特に吐き気と倦怠感が強く、一般的に改善されるといわれている16週頃をすぎても症状が残りやすいようです。
おすすめのつわり対策(1)
キャンディをお守りに
食べつわりがある人は、朝方や血糖値が下がるお昼前、夕方頃に吐き気などを起こすことが多いようです。
そんな方は常にキャンディを携帯してちょこちょこ口にいれておくと安心ですね。
飴の種類についてはお好みのもので構いませんが、個人的にはハチミツ100%のものやべっ甲飴のようなものがお勧めです。
あとはミント味のキャンディもスッキリしますね。ラムネやグミに助けられた!という人も多いようです。
また最近では妊婦さんにおすすめの成分(葉酸配合)のキャンディもありますので試してみるのもいいかもしれません。
舐める時に注意して欲しいのは、噛まずに舐めきること。あとは虫歯にも気を付けてくださいね^^
おすすめのつわり対策(2)
水分摂取もしっかりと
水分不足もつわりの症状を悪化させてしまいます。
妊娠をすると尿意を感じやすくなるので水分をとることをさけたり、吐き気があると飲みづらくなってしまいますが
水分がしっかりとれていないと、吐き気が頭痛の症状が悪化するだけなくお腹の赤ちゃんに栄養がしっかり届かないなど影響がでます。
カフェインレスのハーブティーや麦茶など温かい飲み物がとれればいいですが、臭いがより気になるかもしれませんので
冷たいお水や炭酸水でOKです。レモンを絞ったものを数滴いれるとすっきりしてよりおすすめ。
その他、経口補水液や氷を口に含んで少しずつ摂取するのも吐き気のある時にはいいと思います。
つわり期のヨガ
つわりがある時、ヨガをすること自体は全く問題ありません。気分がよければぜひヨガをしてください。
とはいえ無理は禁物。多くのマタニティヨガクラスは「妊娠16週以降の妊婦さん」が対象となっていますので
ご自宅でのセルフケア方法として気軽に行っていただけるマタニティヨガをご紹介します。
胸を開くポーズ
吐き気を我慢している時はどうしても上半身が硬くなったり、背中が丸まってしまいがち。
また吐くときには胸部から腹部にかけてかなりの力がかかるため、上半身が過度に緊張する状態となります。
前述に書いたように、胸や背中が硬い人や姿勢が悪い(猫背)の人はつわり症状がひどくなる傾向があり
例えば背中が丸まっていると内臓を圧迫するため、胃の働きが悪くなり不快感が増します。
また背中や胸が硬いと呼吸が浅くなり、倦怠感や頭痛、眠気を引き起こしやすくなりますので出来る限り体のこわばりをとることがお勧めです。
両手を背中側で組み、胸の中心を広げます。
腕をゆっくり持ち上げながら鼻から息を吸い込みましょう。
息を吐くときは鼻から細く長く吐きながら手をおろします。これを数回繰り返すだけでOK。
最初は苦しく感じる呼吸も、数を重ねていくと徐々に肋骨が広がり呼吸がしやすくなるのを感じるはずです。
肩こりの解消にもなりますので、つらいと感じたら
もし手が後ろに回しづらい場合は、四つん這いになってやるのもOK。
ゆっくり息を吸いながら頭を持ち上げて胸を広げます。吐く息では頭を下げて背中を少し丸めてみましょう。
背中が柔らかく波打つように動くのを意識すると、背中の凝りや腰痛の改善にもなります。
動けない時は呼吸の練習を
気分が悪くて動く気になれない・・・という時も、ヨガを諦める必要はありません。
実はマタニティヨガにとって一番大切なことは「呼吸」。
沢山のポーズの練習をするよりも、呼吸の練習をすることが何よりも有効です。
ゆったりとした呼吸は、ただたんに気持ちが落ち着くというだけでなく自律神経を整える効果があります。
前述の通り、自律神経の乱れもつわりを引き起こす原因といわれていますから、
まずは難しいことは、ひたすら”気持ちよく呼吸すること”に意識を向けてみましょう。
また妊婦さんにとっての呼吸は
・お腹の張りを緩和する
・お産前の心配や不安を解消する
・陣痛時の痛みを緩和する
・お産時のいきみ逃し
など多くのメリットがありますから、ぜひ前向きに取り組んでみてください。
好きな姿勢で座ったら、鼻から吸って口から「ハー」と温かい息を吐きます。
この時に、不安な気持ちを一緒に吐きだすようにするとより効果的。
横に寝たシムスの体位でやってみると、より体の力が抜けてぐっすり眠れますよ。
「休息する」のもマタニティヨガの一つです
つわり期=妊娠初期 というのは、心にも身体にも大きな変化が訪れます。
気持ちの変化、環境の変化、身体の変化・・・
そんな大きな変化を迎える時ですから、誰しも不安になったりネガティブな気持ちになりがち。
増してや体調が悪いともなれば、ふさぎ込んでしまうのも仕方のないことです。
ですからそんな時は思い切って「休む」という事に徹してみましょう。
ヨガの大切な教え(八支則)の中に、「してはいけないこと」の一つとして Ahimsa(アヒムサ)という言葉があります。
アヒムサとは、非暴力と訳される通り「身体や言葉の暴力、苦痛を引き起こす行いはやめましょう」という意味です。
これは他人に対してはもちろん、自分に対しても同じことです。
身体的に無理をしたり、休憩をとらないことも身体の暴力になりますし
自分自身をあれこれと責めることも、言葉の暴力になります。
特に妊娠期はお腹に「赤ちゃん」がいますね。自分を苦しめることは赤ちゃんも苦しめてしまうことになるかもしれません。
だからつわりで辛い時にはとにかく「心と体を休ませる」こと!これも立派なマタニティヨガですから
どうぞ胸をはって、前向きな気持ちで休んで欲しいなと思います。
そしてまた良くなってきたら、ぜひマタニティヨガのクラスにお越しください。
よりダイナミック&ハッピーな気持ちで一緒にヨガを楽しみましょう。